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谷川俊太郎の絵本

 

子どもたちが小さかった頃、大好きだった本『あな』は谷川俊太郎・作、和田誠・絵だった。

主人公ひろしは穴を掘り始め、穴を掘る行為に関心を持つ、父、母、妹、友達が入れ替わり立ち替わりやって来て声をかける。

それぞれへのひろしの対応が面白くて、

わかるなあ、と幼い子どもたちも心をつかまれたのだと思う。

そして穴を掘ると言う行為、自分も一度やってみたい、と思ったのではないだろうか。

穴の中でいもむしに出会ったこと、そしてあなから見上げた空を蝶が横切って行ったこと、

いずれも忘れられない瞬間であって、そのときにひろしの心はうごく。

ひろしが穴を掘ることを思いついたように、

我が家の息子たちは自発的に何をしたのだろうか。

その時に母親は父親は、どんな声を掛けたのか。

子の人生を邪魔せず、ふーん、というくらいで側にいる。

そういう親であっただろうか。

などといろいろ考えさせらる絵本だった。

 

谷川俊太郎・詩、岡本よしろう・絵の絵本「生きる」は、先日ティールグリーンでの原画展で

原画のひとつに胸がざわざわしたので買った絵本だ。

その絵はおじいさんが、誕生祝いをしてくれる孫たちの家に出かける場面。

玄関での少しおぼつかない足もとや,お年寄りの家らしい設えが逆光で描かれていて、

生きるということ/いま生きているということ

と言う一節に深い意味を与えていた。

私事だが、晩年の父を思い出さずにはいられなかったのだ。

「生きる」という抽象的な言葉の詩が具体的な多くの物語を含む絵本になっていて、

しかもより深く詩を感じることが出来る仕掛けが沢山あって、何度読み返しても飽きない。

繰り返し読み,またみんなに勧めたくなる絵本だ。

 

この詩は合唱曲としても作曲され、それも三善晃版と新実徳英版がある。

(このふたりが師弟関係であったことも興味深い)

そして、朗読のサークルが舞台となっているドラマ「この声をきみに」の中でも、この詩が朗読された。

詩というのは寛容で懐が深く、まるで音楽や絵になったり、朗読されるのを待っているようだ。
 

「かないくん」もいつだったか、ティールグリーンで立ち読みで涙がこぼれ、手に入れた本。

谷川俊太郎の詩や文にはいつもいのちのことが書いてある。

だから読むものの心を動かし、読むものの心に暖かいものが満ちて、ずっと側においておきたい本になるのだろう。

小さな火が灯されているように、満たされた心で居られることは幸せだ。

いつもそういう本で溢れているティ—ルグリーンさんには本当に感謝している。

 

アトリエ木里も、心が満ちて幸せになるような展示やワークショップをしていきたい。

帰り道に展示やお喋りしたことを思い出して、ついにっこりしてしまうような、

そういう場所になりたいと心から思う。

 

2018.07.27 Friday|-|by アトリエ木里


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